| 友人の生まれたての赤ちゃんは肝臓が悪く、生まれてから10ヶ月も入院していた。私がお見舞いに行ったとき、友人が私に「うちの子と比べて、他の子のベッドの周りにはオモチャが少ないでしょう。うちの子はずっとここだから全てここにあるの。」と話してくれた。でも実は私がお見舞いにいった日に、お医者さんからやっと、お父さんの肝臓の一部を移植しても問題がないことを聞かされていた。友人は大喜びだった。そして10ヶ月のわが子に向かって「やっと家に帰れるね。」と何度も繰り返していた。私もホッとして帰った。次の日、その友達から電話がかかってきた。「イクちゃん、うちの子なくなちゃった。イクちゃんが最後のお見舞い客だった。」私は泣きながら思った。「あの子はもうこれ以上自分の親に迷惑をかけたくなくて、手術が決まった日にこの世を去ったのかもしれない。」そう思わなければつらすぎることだった。「子供はすごいパワーを持っているんだ。」私にとって子供関係の仕事をさせるきっかけになったのが、あの子のパワーだった。 |
